2019-01-09から1日間の記事一覧

習作の小説 『鶺鴒』その一

『鶺鴒』 〈一〉 霙のような重い憂鬱が亜里沙の心を覆っていた。それは今に始まったものではなく、慢性的な事であったが今日はとりわけ酷い。亜里沙は一つ溜息をつき、平生の通り制服の黒いスカートを履き、くたびれた白のブラウスに袖を通し家を後にした。 …